それは”本当に問題なのか”を考える

問題が発生したため、すぐに上司に報告したが、「その件は、そもそも問題なの?問題の捉え方が間違っていないか?」と言われた。

 

なぜ上司と自分で認識が違うのだろうか?

この記事では、上記の疑問について解説しています。

ビジネスにおける問題とは何か?

問題と言うと、まず試験問題が頭に浮かびますよね。私も学生時代に苦しみました。卒業試験が受からずに留年になる夢を何度見たか。社会人になってもしばらく見た記憶があります…

試験問題の問題とは、

解答を求める問いのことです。問いは、全て他者が用意したものになります。その問いを自分で解答する。解答も用意されているため答え合わせができ、その結果自分の学力が可視化できると言うことになります。

一方でビジネスにおける問題とは、

現在の状態と理想とする姿の差異のことです。なりたい状態に到達するために、現時点で足りない部分(差異)は何かを考えるという能動的な行動から設定されるものです。

このため、試験問題は受動的、ビジネスの問題は、能動的と捉えることができますね。

ここからは、ビジネスにおける問題に焦点を当てて話していきます。

問題を定義する

問題に限らず、定義を行うときには必要なパラーメータの関係を算数式のように見やすい形で表現することが大事です。問題に当てはめると、

問題(差異)= 理想とする姿 ー 現在の状態

となります。この式によると問題を決める変動要素は、理想とする姿と現在の状態ですから、理想とする姿が高ければ高いほど、現在の状態との差が大きくなる…つまり問題が大きくなります。

また、理想とする姿が高くはないが、現在の状態が悪いとやはり差が大きくなります。

簡単な例で説明します。

現在80kg(現在の状態)のA君が、健康診断でメタボ判定を受けダイエットをすることになりました。

目標体重(理想とする姿)を、70kgに設定した時には、差は10kg。60 kgに設定した時には、差は20 kgになります。このように問題(差)は、あるべき姿によって変動すると言うことがお分かりになると思います。

もう一つの例です。

システム開発のテスト工程で、ある機能にバグ(プログラムの誤り)が20件発見されました。

尚、他機能のバグは、10件程度です。

この時、該当機能の品質は他機能と比較して悪い(問題)と言えるでしょうか?それともテスト工程でバグがでるのは妥当であり不具合を除去することにより品質は高まった(問題ではない)と言うべきでしょうか?

解答ですが、品質目標(理想とする姿)をどのように設定するかによって問題が異なります。例えばバグの目標抽出件数が事前に設定されている場合には、目標件数との差異が問題となりますし件数でなく混入工程に関する指標(例:前工程で抽出するべきバグが、後工程で抽出等)であればその差異が問題となると言えます。

段々とお気づきになってきたかと思いますが、理想とする姿をどう決めるかによって問題となったりならなかったり、またここでは触れていませんが、現状認識が人によって異なる場合には理想の姿が共有されていても問題の大きさが異なることになります。

特に、ビジネスにおいては、数字で測れない定性的な要素が多く存在するため、現状認識に加えて理想とする姿も人によって異なったりします。このことも問題の定義を不明確にする原因になっていると考えられます。

問題を発見する方法

理想とする姿が明示的であり、現状認識にも齟齬がない場合には、問題はその差異として捉えればよく、定義にさほど困ることはないと思います。では、理想とする姿が明確でない問題を発見する場合にはどのような方法をとれば良いでしょうか?

色々な方法があると思います。ここでは、私の経験上一番重要と考える視点で問題を捉える方法について紹介します。

目的の視点

ビジネスに限らず、日常生活でも我々が行動する際には必ず理由が存在します。日常生活の中で習慣化されていることで、普段は、あまり気にしないかも知れません。

例えば、

  • 雨が降ってきた。雨に濡れないようにするために傘をさした。
  • 寒いと感じた。かぜを引かないようするためにセーターを着た。
  • お腹がすいた。栄養を補給するためにご飯を食べた。

当たり前のことですよね。ビジネス活動で例を挙げると

  • 新製品を開発した。販売を促進するために新聞に広告を出した。
  • システムに不具合が発生した。顧客の業務を止めないためにプログラムを修正した。
  • 顧客から案件の引き合いが来た。案件を獲得するために提案書を提出した。

になります。

それでは、”何のためにそれをやっているのか”という視点で、上記の例を補足しどう考えるかを話していきます。

  • 雨が降ってきた。雨に濡れないようにするために傘をさした。しかし、歩いているうちに傘でカバーできない足元が濡れてしまった。靴まで雨が入って歩きにくく不快になった..

問題(差異)= 理想とする姿 ー 現在の状態と考えると、

解答の例ですが、

理想とする姿は「雨に濡れないようにする」、 現在の状態は「傘でカバーした身体は、濡れていない」、問題は「足元が濡れてしまった」ですね。

えっ!と思われた方がいるのではないでしょうか? 問題は、「不快になった」ではないのかと。

ここで、注目すべきは、理想とする姿です。これを、

単に「雨に濡れないようにする」か「雨でも快適に歩ける」かで現在の状態を含め、捉え方が変わってきます。

理想とする姿を「雨に濡れないようにする」とすると、雨に濡れたかどうかが問題を定義する際の論点になります。

理想とする姿を「雨でも快適に歩ける」とすると、現在の状態は「足元が濡れてしまい、靴まで雨が入った」、問題は「不快になった」となります。つまり快適かどうかか論点になりますね。

視点を変えることで、問題の定義が変わり、異なる問題を見つけられることにお気づきいただけたかと思います。

まとめ

ここまで、問題の定義と捉え方について、解説させていただきました。問題を発見する方法の中で紹介した目的の視点以外にも、範囲の視点、立場の視点等で問題を捉える方法があります。また追ってご紹介できればと思っています。さらに問題の定義だけでなく原因の構造を明らかにし、解決策をどう見出すかについても今後お話ししていきたいです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

うめToy

神奈川県津久井郡(現在は相模原市に編入)出身の50代ITコンサルタントです。今は東京の多摩地区で暮らしています。仕事は、大学卒業後にバブル真っ只中の不動産業界で営業職を行い、バブルがはじけてからは、IT業界に転職。その後30年間、この業界で働いています。

コロナ禍等の諸事情あってサイトを管理していたHawaiiのオプショナルツアーは中断中のため、スペースを間借りしてこれまで、学んできたことをHawaiiの風景とともに独り言として発信していきます。

プロフィール写真について
2匹の犬(”うめ”と”Toy")を飼っているのですが、この写真は”うめ”です!

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